第一章
通し番号 1 章内番号 1 識別番号 1_1
本文
道の道(い)うべきは、常の道に非ず、名の名づくべきは、常の名に非ず、
通し番号 2 章内番号 2 識別番号 1_2
本文
名無きは天地の始めなり、名有るは万物の母なり、
通し番号 3 章内番号 3 識別番号 1_3
本文
故に常に無は以て其妙を観ることを欲す、
通し番号 4 章内番号 4 識別番号 1_4
本文
常に有は以て其徼(きょう)を観ることを欲す、
通し番号 5 章内番号 5 識別番号 1_5
本文
此両者は同じきに出て名を異にす、同じきは之を玄と謂う、玄は又(さら)に玄、衆妙の門なり、
第二章
通し番号 6 章内番号 1 識別番号 2_1
本文
天下皆美の美為るを知る、斯(ここ)に悪あり(已)、皆善の善為るを知る、斯(ここ)に不善あり、故(もと)より、有無相生ず、難易相成る、長短相較す、高下相傾く、音声相和す、前後相随(したが)う、
通し番号 7 章内番号 2 識別番号 2_2
本文
是を以て聖人は無為の事に処(お)る、
通し番号 8 章内番号 3 識別番号 2_3
本文
不言の教えを行い、万物作(おこ)りて辞せず、生じて有(たも)たず、為して恃(たの)まず、
通し番号 9 章内番号 4 識別番号 2_4
本文
功成りて居らず、
通し番号 10 章内番号 5 識別番号 2_5
本文
夫れ唯(ただ)居らず、是を以て去らず、
第三章
通し番号 11 章内番号 1 識別番号 3_1
本文
賢を尚(たっと)ばざれば、民をして争わざらしむ、得難きの貨を貴ばざれば、民をして盜を為さざらしむ、欲すべきを見(しめ)さざれば、民の心をして乱れざらしむ、
通し番号 12 章内番号 2 識別番号 3_2
本文
是を以て聖人の治は、其心を虚にして、其腹を実(じつ)にす、
通し番号 13 章内番号 3 識別番号 3_3
本文
其志を弱くし、其骨を強くす、
通し番号 14 章内番号 4 識別番号 3_4
本文
常に民をして無知無欲ならしむ、
通し番号 15 章内番号 5 識別番号 3_5
本文
夫の知者をして敢えて為さざらしむなり、
通し番号 16 章内番号 6 識別番号 3_6
本文
無為を為せば、則ち治まざる無し、
第四章
通し番号 17 章内番号 1 識別番号 4_1
本文
道は沖(ちゅう)にして之を用いて或いは盈(み)たず、淵(兮)として万物の宗に似る、其鋭を挫(くじ)き、其紛を解き、其光を和し、其塵を同じくす、湛(たん)として存する或(あ)るに似る、吾誰の子たるかを知らず、帝の先に象(のっと)る、
第五章
通し番号 18 章内番号 1 識別番号 5_1
本文
天地は仁ならず、万物以て芻狗(すうく)と為す、
通し番号 19 章内番号 2 識別番号 5_2
本文
聖人は仁ならず、百姓(ひゃくせい)以て芻狗(すうく)と為す、
通し番号 20 章内番号 3 識別番号 5_3
本文
天地の間、其猶橐籥(たくやく)のごときか、虚にして屈(つ)きず、動きて愈(ますます)出(い)ず、
通し番号 21 章内番号 4 識別番号 5_4
本文
多言なれば、数(ことわ)りは窮す、中を守るに如かず、
第六章
通し番号 22 章内番号 1 識別番号 6_1
本文
谷神死せず、是れ玄牝(げんぴん)と謂う、玄牝の門、是れ天地の根と謂う、綿綿として存するが若し、之を用いて勤(つと)めず、
第七章
通し番号 23 章内番号 1 識別番号 7_1
本文
天は長く地は久し、天地が能く長く且(か)つ久しき所以は、其自(みずか)ら生ぜざるを以てなり、
通し番号 24 章内番号 2 識別番号 7_2
本文
故に能く長生す、是を以て聖人は其身を後にして身先んず、其身を外にして身存す、以て其の私無きに非ざる邪(か)、故に能く其私を成す、
第八章
通し番号 25 章内番号 1 識別番号 8_1
本文
上善は水の若し、水は善く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処(お)る、
通し番号 26 章内番号 2 識別番号 8_2
本文
故に道に幾(ちか)し、
通し番号 27 章内番号 3 識別番号 8_3
本文
居は地を善しとす、心は淵を善しとす、与えるは仁を善しとす、言は信を善しとす、正は治を善しとす、事は能を善しとす、動は時を善しとす、夫れ唯争わず、故に尤(とが)無し、
第九章
通し番号 28 章内番号 1 識別番号 9_1
本文
持して之を盈(み)たすは、其の已(や)むに如(し)かず、
通し番号 29 章内番号 2 識別番号 9_2
本文
揣(と)りて之を鋭くすれば、長く保つべからず、
通し番号 30 章内番号 3 識別番号 9_3
本文
金玉堂に満つれば、之を能く守ること莫し、
通し番号 31 章内番号 4 識別番号 9_4
本文
富貴にして驕れば、自ら其の咎(とが)を遺(のこ)す、
通し番号 32 章内番号 5 識別番号 9_5
本文
功遂(と)げ身退くは、天の道なり、
第十章
通し番号 33 章内番号 1 識別番号 10_1
本文
営魄(えいはく)に載(の)り一を抱く、能く離れること無からん乎(か)、
通し番号 34 章内番号 2 識別番号 10_2
本文
気を専らにし柔を致す、能く嬰児たらんか、
通し番号 35 章内番号 3 識別番号 10_3
本文
滌除(てきじょ)して玄覽(げんらん)し、能く疵(きず)つけること無からんか、
通し番号 36 章内番号 4 識別番号 10_4
本文
民を愛して国を治む、能く知ること無きか、
通し番号 37 章内番号 5 識別番号 10_5
本文
天門開闔(こう)す、能く雌為(た)らんか、
通し番号 38 章内番号 6 識別番号 10_6
本文
明白にして四達し、能く為すこと無きか、
通し番号 39 章内番号 7 識別番号 10_7
本文
之を生ず、
通し番号 40 章内番号 8 識別番号 10_8
本文
之を畜(やしな)う、
通し番号 41 章内番号 9 識別番号 10_9
本文
生じて有(たも)たず、為して恃(たの)まず、長じて宰(さい)せず、是れ玄徳と謂う、
第十一章
通し番号 42 章内番号 1 識別番号 11_1
本文
三十輻(ふく)、一轂(こく)を共にす、其無に当たりて、車の用有り、
通し番号 43 章内番号 2 識別番号 11_2
本文
埴(はに)を埏(こ)ねて以て器を為(つく)る、其無に当りて、器の用有り、戸(こ)牖(ゆう)を鑿(うが)ちて以て室を為(つく)る、其無に当りて、室の用有り、故に有の以て利を為すは、無の以て用を為せばなり、
第十二章
通し番号 44 章内番号 1 識別番号 12_1
本文
五色は人の目をして盲なら令(し)む、五音(ごいん)は人の耳をして聾ならしむ、五味は人の口をして爽(たが)わしむ、馳騁(ちてい)畋猟(でんりょう)人の心をして狂を発せしむ、
通し番号 45 章内番号 2 識別番号 12_2
本文
得難きの貨は人の行をして妨(さまた)げしむ、
通し番号 46 章内番号 3 識別番号 12_3
本文
是を以て聖人は腹の為にして目の為にせず、故に彼を去り此を取る、
第十三章
通し番号 47 章内番号 1 識別番号 13_1
本文
寵辱驚くが若し、大患を貴ぶこと身の若し、何をか寵辱驚くが若しと謂う、寵下と為す、之を得て驚くが若し、之を失いて驚くが若し、是れ寵辱驚くが若しと謂う、
通し番号 48 章内番号 2 識別番号 13_2
本文
何をか大患を貴ぶこと身の若しと謂う、
通し番号 49 章内番号 3 識別番号 13_3
本文
吾大患有る所以は、吾身を有(たも)つ為なり、
通し番号 50 章内番号 4 識別番号 13_4
本文
吾身無きに及(いた)れば、
通し番号 51 章内番号 5 識別番号 13_5
本文
吾何の患い有らん、故に貴(たっと)ぶは身以て天下と為せば、天下を寄すべきが若し、
通し番号 52 章内番号 6 識別番号 13_6
本文
愛(おし)むこと身以て天下と為す、天下を託すべきが若し、
第十四章
通し番号 53 章内番号 1 識別番号 14_1
本文
之を視(み)て見えず、名づけて夷(い)と曰う、之を聴きて聞こえず、名づけて希と曰う、之を搏(と)りて得ず、名づけて微と曰う、此三は、詰(と)うを致すべからず、故に混じて一と為る、
通し番号 54 章内番号 2 識別番号 14_2
本文
其上皦(あきら)かならず、其下昧(くら)からず、縄縄(じょうじょう)として名づくべからず、無物に復し帰する、是れ無状の状、無物の象と謂う、
通し番号 55 章内番号 3 識別番号 14_3
本文
是れ惚恍(こつこう)と謂う、
通し番号 56 章内番号 4 識別番号 14_4
本文
之を迎えて其首を見ず、之に随(したが)いて其後(しり)を見ず、古の道を執(と)りて、以て今の有を御す、
通し番号 57 章内番号 5 識別番号 14_5
本文
能く古始を知る、是れ道の紀と謂う、
第十五章
通し番号 58 章内番号 1 識別番号 15_1
本文
古の善く士為(た)る者は、微、妙、玄にして通ず、深くして識るべからず、夫れ唯(ただ)識るべからず、故に強いて之が容を為す、予(兮)として冬川を涉(わた)るが若し、
通し番号 59 章内番号 2 識別番号 15_2
本文
猶(ゆう)(兮)として四鄰を畏れるが若し、
通し番号 60 章内番号 3 識別番号 15_3
本文
儼(げん)(兮)として其れ客の若し、渙(かん)として冰(こおり)の将に釈(と)けんとするが若し、敦(とん)として其れ樸の若し、曠(こう)として其れ谷の若し、混として其れ濁るが若し、
通し番号 61 章内番号 4 識別番号 15_4
本文
孰(たれ)か能く濁にして以て之を静かにし徐(おもむろ)に清(あきら)かならん、孰か能く安にして以て久しく之を動かし徐(おもむろ)に生ぜん、
通し番号 62 章内番号 5 識別番号 15_5
本文
此道を保つ者は盈(み)つることを欲せず、
通し番号 63 章内番号 6 識別番号 15_6
本文
夫れ唯盈(み)たず、故に能く蔽(おお)い新たに成さず、
第十六章
通し番号 64 章内番号 1 識別番号 16_1
本文
虛を致し極まる、静を守り篤(あつ)し、
通し番号 65 章内番号 2 識別番号 16_2
本文
万物並(なら)び作(おこ)る、
通し番号 66 章内番号 3 識別番号 16_3
本文
吾以て復するを観(み)る、
通し番号 67 章内番号 4 識別番号 16_4
本文
夫物芸芸(うんうん)として、各(おのおの)其根に復し帰す、
通し番号 68 章内番号 5 識別番号 16_5
本文
根に帰るを静と曰う、是れ命に復すと曰う、命に復すを常と曰う、
通し番号 69 章内番号 6 識別番号 16_6
本文
常を知るを明と曰う、常を知らずして妄(みだり)に作(な)せば、凶なり、
通し番号 70 章内番号 7 識別番号 16_7
本文
常を知れば容なり、
通し番号 71 章内番号 8 識別番号 16_8
本文
容なれば乃ち公なり、
通し番号 72 章内番号 9 識別番号 16_9
本文
公なれば乃ち王なり、
通し番号 73 章内番号 10 識別番号 16_10
本文
王なれば乃ち天なり、
通し番号 74 章内番号 11 識別番号 16_11
本文
天なれば乃ち道なり、
通し番号 75 章内番号 12 識別番号 16_12
本文
道なれば乃ち久し、
通し番号 76 章内番号 13 識別番号 16_13
本文
身を没するまで殆(あやう)からず、
第十七章
通し番号 77 章内番号 1 識別番号 17_1
本文
大上は、下は之有ることを知る、
通し番号 78 章内番号 2 識別番号 17_2
本文
其次は親しみて之を誉める、
通し番号 79 章内番号 3 識別番号 17_3
本文
其次は之を畏る、
通し番号 80 章内番号 4 識別番号 17_4
本文
其次は之を侮る、
通し番号 81 章内番号 5 識別番号 17_5
本文
信足らざれば、不信有り、
通し番号 82 章内番号 6 識別番号 17_6
本文
悠(ゆう)として其れ言を貴ぶ、功成り事遂(と)ぐ、百姓(ひゃくせい)皆我は自ずから然りと謂う、
第十八章
通し番号 83 章内番号 1 識別番号 18_1
本文
大道廃(すた)れて、仁義有り、
通し番号 84 章内番号 2 識別番号 18_2
本文
智慧出でて、大偽有り、
通し番号 85 章内番号 3 識別番号 18_3
本文
六親(りくしん)和せずして、孝慈有り、国家昏乱(こんらん)して、忠臣有り、
第十九章
通し番号 86 章内番号 1 識別番号 19_1
本文
聖を絶ち智を棄てれば、民利百倍す、仁を絶ち義を棄てれば、民孝慈に復す、巧を絶ち利を棄てれば、盜賊有ること無し、此三は以て文を為し、足らず、故に属(つづ)く所有らしむ、素を見て樸を抱き、私を少くし欲を寡(すくな)くす、
第二十章
通し番号 87 章内番号 1 識別番号 20_1
本文
学を絶てば憂い無し、唯(い)の阿(あ)と、相去る幾何(いくばく)ぞ、善の悪と、相去る若何(いかん)、人の畏れる所、畏れざるべからず、
通し番号 88 章内番号 2 識別番号 20_2
本文
荒として(兮)其れ未だ央(つ)きざるかな、
通し番号 89 章内番号 3 識別番号 20_3
本文
衆人は熙熙(きき)として、太牢(たいろう)を享(う)けるが如し、春台に登るが如し、
通し番号 90 章内番号 4 識別番号 20_4
本文
我独り泊(はく)として其未だ兆(きざ)さず、嬰児(えいじ)の未だ孩(がい)さざるが如し、
通し番号 91 章内番号 5 識別番号 20_5
本文
儽儽(るいるい)(兮)として、帰する所無きが若し、
通し番号 92 章内番号 6 識別番号 20_6
本文
衆人皆余有り、我独り遺(うしな)うが若し、
通し番号 93 章内番号 7 識別番号 20_7
本文
我は愚人の心なるかな、
通し番号 94 章内番号 8 識別番号 20_8
本文
沌沌(とんとん)(兮)たり、
通し番号 95 章内番号 9 識別番号 20_9
本文
俗人は昭昭たり、
通し番号 96 章内番号 10 識別番号 20_10
本文
我独り昏(こん)の若し、俗人は察察たり、
通し番号 97 章内番号 11 識別番号 20_11
本文
我独り悶悶(もんもん)たり、澹(たん)として其れ海の若し、
通し番号 98 章内番号 12 識別番号 20_12
本文
飂(りゅう)(兮)として止(とど)まること無きが若し、
通し番号 99 章内番号 13 識別番号 20_13
本文
衆人皆以(もち)いること有り、
通し番号 100 章内番号 14 識別番号 20_14
本文
我独り頑にして鄙に似る、
通し番号 101 章内番号 15 識別番号 20_15
本文
我独り人に異なりて、食母を貴ぶ、
第二十一章
通し番号 102 章内番号 1 識別番号 21_1
本文
孔徳の容、惟(ただ)道是れ従う、
通し番号 103 章内番号 2 識別番号 21_2
本文
道の物為る、惟(こ)れ恍(こう)惟(こ)れ惚(こつ)、
通し番号 104 章内番号 3 識別番号 21_3
本文
惚たり恍たり、其中象有り、恍たり惚たり、其中物有り、
通し番号 105 章内番号 4 識別番号 21_4
本文
窈(よう)たり冥(めい)たり、其中精有り、
通し番号 106 章内番号 5 識別番号 21_5
本文
其精甚だ真、其中信有り、
通し番号 107 章内番号 6 識別番号 21_6
本文
今自(よ)り古に及ぶ、其名去らず、
通し番号 108 章内番号 7 識別番号 21_7
本文
以て衆甫(しゅうほ)を閱(す)ぶ、
通し番号 109 章内番号 8 識別番号 21_8
本文
吾何を以て衆甫の状を知る哉(や)、此を以てなり、
第二十二章
通し番号 110 章内番号 1 識別番号 22_1
本文
曲がるは則ち全(まった)し、
通し番号 111 章内番号 2 識別番号 22_2
本文
枉(ま)げれば則ち直し、
通し番号 112 章内番号 3 識別番号 22_3
本文
窪(くぼ)めば則ち盈(み)つ、
通し番号 113 章内番号 4 識別番号 22_4
本文
弊(やぶ)れば則ち新し、
通し番号 114 章内番号 5 識別番号 22_5
本文
少なければ則ち得る、多ければ則ち惑う、
通し番号 115 章内番号 6 識別番号 22_6
本文
是を以て聖人は一を抱き天下の式と為る、
通し番号 116 章内番号 7 識別番号 22_7
本文
自(みずか)ら見(あら)わさず、故に明なり、自(みずか)ら是とせず、故に彰(あらわ)る、自ら伐(と)らず、故に功有り、自ら矜(ほこ)らず、故に長(すす)む、夫れ唯(ただ)争わず、故に天下能く之と争うこと莫し、古の謂う所の曲がれば則ち全きは、豈虚言ならんや、誠に全くして之に帰す、
第二十三章
通し番号 117 章内番号 1 識別番号 23_1
本文
言を希(すく)なくし、自(おの)ずから然る、
通し番号 118 章内番号 2 識別番号 23_2
本文
故(もと)より飄風(ひょうふう)朝を終えず、驟雨(しゅうう)日を終えず、孰(だれ)か此を為す者か、天地なり、天地尚(なお)久しきこと能わず、而るに況んや人においてをや、
通し番号 119 章内番号 3 識別番号 23_3
本文
故に道に従事するは、道は道に同じくす、
通し番号 120 章内番号 4 識別番号 23_4
本文
徳は徳に同じくす、
通し番号 121 章内番号 5 識別番号 23_5
本文
失は失に同じくす、
通し番号 122 章内番号 6 識別番号 23_6
本文
道に同じくするは、道亦之を得るを楽しむ、徳に同じくするは、徳亦之を得るを楽しむ、失に同じくするは、失亦之を得るを楽しむ、
通し番号 123 章内番号 7 識別番号 23_7
本文
信足らざれば、不信有り、
第二十四章
通し番号 124 章内番号 1 識別番号 24_1
本文
企(つまだ)つ者は立たず、
通し番号 125 章内番号 2 識別番号 24_2
本文
跨(また)ぐ者は行かず、自(みずか)ら見(あら)わす者は明ならず、自(みずか)ら是とする者は彰(あらわ)れず、自ら伐(と)る者は功無し、自ら矜(ほこ)る者は長(すす)まず、其道に在るや、余食贅(ぜい)行と曰う、
通し番号 126 章内番号 3 識別番号 24_3
本文
物之を悪(にく)むこと或(あ)り、故に有道者は処(お)らず、
第二十五章
通し番号 127 章内番号 1 識別番号 25_1
本文
物有りて混成たり、天地に先だちて生ず、
通し番号 128 章内番号 2 識別番号 25_2
本文
寂(せき)たり寥(りょう)たり、独(ひと)り立ちて改(か)わらず、
通し番号 129 章内番号 3 識別番号 25_3
本文
周行して殆(あや)うからず、以て天下の母と為るべし、
通し番号 130 章内番号 4 識別番号 25_4
本文
吾其名を知らず、
通し番号 131 章内番号 5 識別番号 25_5
本文
之に字(あざな)して道と曰う、
通し番号 132 章内番号 6 識別番号 25_6
本文
強いて之が名を為して、大と曰う、
通し番号 133 章内番号 7 識別番号 25_7
本文
大は曰(ここ)に逝(ゆ)く、
通し番号 134 章内番号 8 識別番号 25_8
本文
逝く曰(ここ)に遠し、遠し曰(ここ)に反(かえ)る、
通し番号 135 章内番号 9 識別番号 25_9
本文
故に道は大、天は大、地は大、王は亦大なり、
通し番号 136 章内番号 10 識別番号 25_10
本文
域(くに)の中に四大有り、
通し番号 137 章内番号 11 識別番号 25_11
本文
王は其一に居る、
通し番号 138 章内番号 12 識別番号 25_12
本文
人は地に法(のっと)り地たり、天に法(のっと)り天たり、道に法(のっと)り道たり、自(おの)ずと然るに法(のっと)る、
第二十六章
通し番号 139 章内番号 1 識別番号 26_1
本文
重きは軽きの根と為る、静かなるは躁(さわが)しきの君と為る、
通し番号 140 章内番号 2 識別番号 26_2
本文
是を以て聖人は終日、行うこと輜重(しちょう)を離れず、
通し番号 141 章内番号 3 識別番号 26_3
本文
栄観有りと雖も、燕処(えんしょ)して超然たり、
通し番号 142 章内番号 4 識別番号 26_4
本文
奈何(いかん)ぞ万乗の主にして身以て天下に軽くせんや、軽ければ則ち本を失う、躁(さわが)しければ則ち君を失う、
第二十七章
通し番号 143 章内番号 1 識別番号 27_1
本文
善行は轍迹(てっせき)無し、
通し番号 144 章内番号 2 識別番号 27_2
本文
善言は瑕讁(かたく)無し、
通し番号 145 章内番号 3 識別番号 27_3
本文
善数は籌策(ちゅうさく)を用いず、
通し番号 146 章内番号 4 識別番号 27_4
本文
善閉は関楗(かんけん)無くして開くべからず、善結は縄約(じょうやく)無くして解くべからず、
通し番号 147 章内番号 5 識別番号 27_5
本文
是を以て聖人は常に善にして人を救う、故に人を棄てること無し、
通し番号 148 章内番号 6 識別番号 27_6
本文
常に善にして物を救う、故に物を棄てること無し、是れ襲明(しゅうめい)と謂う、故(もと)より善人は、不善人の師なり、
通し番号 149 章内番号 7 識別番号 27_7
本文
不善人は、善人の資なり、
通し番号 150 章内番号 8 識別番号 27_8
本文
其師を貴ばず、其資を愛(おし)まざれば、智と雖も大いに迷う、
通し番号 151 章内番号 9 識別番号 27_9
本文
是れ要妙と謂う、
第二十八章
通し番号 152 章内番号 1 識別番号 28_1
本文
其雄を知り、其雌(し)を守れば、天下の谿(たに)と為る、天下の谿と為れば、常に徳にして離れず、嬰児に復し帰すればなり、
通し番号 153 章内番号 2 識別番号 28_2
本文
其白を知り、其黒を守れば、天下の式と為る、
通し番号 154 章内番号 3 識別番号 28_3
本文
天下の式と為れば、常に徳は忒(たが)わず、
通し番号 155 章内番号 4 識別番号 28_4
本文
極まること無きに復し帰すればなり、
通し番号 156 章内番号 5 識別番号 28_5
本文
其栄を知り、其辱を守れば、天下の谷と為る、天下の谷と為れば、常に徳にして乃ち足る、樸に復し帰すればなり、
通し番号 157 章内番号 6 識別番号 28_6
本文
樸散すれば則ち器と為る、聖人之を用いれば、則ち官の長と為る、
通し番号 158 章内番号 7 識別番号 28_7
本文
故に大制は割(さ)かず、
第二十九章
通し番号 159 章内番号 1 識別番号 29_1
本文
将に天下を取らんと欲して之を為すは、吾其得ざるを見るのみ、天下は神器なり、
通し番号 160 章内番号 2 識別番号 29_2
本文
為すべからざるなり、為す者之を敗る、執(と)る者之を失う、
通し番号 161 章内番号 3 識別番号 29_3
本文
故(もと)より物は或いは行い随(したが)うこと或(あ)り、或いは歔(は)いて吹くこと或(あ)り、或いは強(つと)めて羸(くる)しむこと或(あ)り、或いは挫(くじ)きて隳(やぶ)ること或(あ)り、是を以て聖人は甚(じん)を去り、奢(しゃ)を去り、泰(たい)を去る、
第三十章
通し番号 162 章内番号 1 識別番号 30_1
本文
道以て人主を佐(たす)くる者は、兵以て天下に強くせず、
通し番号 163 章内番号 2 識別番号 30_2
本文
其事還(めぐ)るを好むなり、
通し番号 164 章内番号 3 識別番号 30_3
本文
師の処(お)る所、荊棘(けいきょく)生ず、大軍の後、必ず凶年有り、
通し番号 165 章内番号 4 識別番号 30_4
本文
善なる者は果のみ、以て強を取らず、
通し番号 166 章内番号 5 識別番号 30_5
本文
果にして矜(ほこ)ること勿(な)し、果にして伐(と)ること勿し、果にして驕ること勿し、
通し番号 167 章内番号 6 識別番号 30_6
本文
果にして已(や)むを得ず、果にして強きこと勿(な)かれ、
通し番号 168 章内番号 7 識別番号 30_7
本文
物は壮(さかん)ならば則ち老(おとろ)えばなり、是れ不道と謂う、不道は早く已(や)む、
第三十一章
通し番号 169 章内番号 1 識別番号 31_1
本文
夫れ佳(よ)き兵は、不祥(ふしょう)の器なり、物之を悪(にく)むこと或(あ)り、故に有道者は処(お)らず、君子は居れば、則ち左を貴ぶ、兵を用いれば、則ち右を貴ぶ、兵は不祥の器なり、君子の器に非ず、已(や)むを得ずして之を用い、恬淡を上と為す、勝ちて美(ほ)めず、之を美(ほ)むる者は、是れ人を殺すを楽しむ、夫れ人を殺すを楽しむ者は、則ち以て志を天下に得るべからず、吉事は左を尚(たっと)ぶ、凶事は右を尚(たっと)ぶ、偏将軍は左に居る、上将軍は右に居る、喪礼以て之に処(お)るを言う、人を殺すことが衆(おお)ければ、哀悲以て之に泣く、戦い勝ちて、喪礼以て之に処(お)る、
第三十二章
通し番号 170 章内番号 1 識別番号 32_1
本文
道は常に名無し、樸は小と雖も、天下能く臣とすること莫きなり、侯王若し能く之を守れば、万物は将に自(みずか)ら賓(ひん)せんとす、
通し番号 171 章内番号 2 識別番号 32_2
本文
天地相合い、以て甘露を降(お)ろす、民は之に令すること莫くて自ずから均(ととの)う、
通し番号 172 章内番号 3 識別番号 32_3
本文
始めて制して名有り、名亦(ただ)既に有れば、夫れ亦(ただ)将に止(とど)まるを知らんとす、止(とど)まるを知れば以て殆(あうやう)からざる所なり、
通し番号 173 章内番号 4 識別番号 32_4
本文
道の天下に在るを譬(たと)えれば、猶川谷(せんこく)の江海に於るがごとし、
第三十三章
通し番号 174 章内番号 1 識別番号 33_1
本文
人を知る者は智なり、自(みずか)ら知る者は明なり、
通し番号 175 章内番号 2 識別番号 33_2
本文
人に勝つ者は力有り、自(みずか)ら勝つ者は強し、
通し番号 176 章内番号 3 識別番号 33_3
本文
足るを知る者は富む、
通し番号 177 章内番号 4 識別番号 33_4
本文
強(つと)めて行う者志有り、
通し番号 178 章内番号 5 識別番号 33_5
本文
其所を失わざる者は久し、
通し番号 179 章内番号 6 識別番号 33_6
本文
死して亡(ほろ)びざる者は寿なり、
第三十四章
通し番号 180 章内番号 1 識別番号 34_1
本文
大道は汎(はん)(兮)として、其れ左右すべし、
通し番号 181 章内番号 2 識別番号 34_2
本文
万物は之を恃(たの)みて生じて辞せず、功成り名有らず、万物を衣養して主と為らず、常に欲無し、(於)小と名づくべし、
通し番号 182 章内番号 3 識別番号 34_3
本文
万物帰して主と為らず、名づけて大と為すべし、
通し番号 183 章内番号 4 識別番号 34_4
本文
其終(つい)に自ら大と為さざるを以てす、故に能く其大を成す、
第三十五章
通し番号 184 章内番号 1 識別番号 35_1
本文
大象を執(と)りて、天下に往(ゆ)く、
通し番号 185 章内番号 2 識別番号 35_2
本文
往きて害せず、安平大なり、
通し番号 186 章内番号 3 識別番号 35_3
本文
楽と餌(じ)は、過客(かかく)止(とど)まる、道の口を出ずるや、淡乎(たんこ)として其れ味無し、之を視て見るに足らず、之を聴きて聞くに足らず、之を用いて既(つ)きるべからず、
第三十六章
通し番号 187 章内番号 1 識別番号 36_1
本文
将に之を歙(ちぢ)めんと欲すれば、必ず固(もと)より之を張る、将に之を弱めんと欲すれば、必ず固(もと)より之を強くす、将に之を廃せんと欲すれば、必ず固(もと)より之を興す、将に之を奪わんと欲すれば、必ず固(もと)より之に与える、是れ微明と謂う、
通し番号 188 章内番号 2 識別番号 36_2
本文
柔弱は剛強に勝つ、魚は淵を脱するべからず、国の利器以て人に示すべからず、
第三十七章
通し番号 189 章内番号 1 識別番号 37_1
本文
道は常に為すこと無くて
通し番号 190 章内番号 2 識別番号 37_2
本文
為さざる無し、
通し番号 191 章内番号 3 識別番号 37_3
本文
侯王若し能く之を守れば、万物将に自ずから化さんとす、化す、而るに作(な)さんと欲す、吾将に之を鎮(しず)めるに無名の樸を以てす、
通し番号 192 章内番号 4 識別番号 37_4
本文
無名の樸は、夫れ亦将に欲無からんとす、
通し番号 193 章内番号 5 識別番号 37_5
本文
欲せずして以て静ならば、天下将に自ずから定らんとす、
第三十八章
通し番号 194 章内番号 1 識別番号 38_1
本文
上徳は徳ならず、是を以て徳有り、下徳は徳を失わず、是を以て徳無し、上徳は為すこと無く、以て為(ため)にすること無し、下徳は之を為して以て為(ため)にすること有り、上仁は之を為して以て為(ため)にすること無し、上義は之を為して以て為(ため)にすること有り、上礼は之を為して之に応ずること莫ければ、則ち臂(うで)を攘(まく)りて之に扔(つ)く、故に道を失いて後に徳なり、徳を失いて後に仁なり、仁を失いて後に義なり、義を失いて後に礼なり、夫れ礼は、忠信の薄きにして、乱の首(はじめ)なり、前(すす)んで識るは、道の華にして、愚の始めなり、是を以て大丈夫は其厚きに処(お)り、其薄きに居らず、其実に処(お)り、其華に居らず、故に彼を去り此を取る、
第三十九章
通し番号 195 章内番号 1 識別番号 39_1
本文
昔の一を得るは、
通し番号 196 章内番号 2 識別番号 39_2
本文
天は一を得て以て清なり、地は一を得て以て寧(ねい)なり、神は一を得て以て霊なり、谷は一を得て以て盈(えい)なり、万物は一を得て以て生なり、侯王は一を得て以て天下の貞(てい)と為る、其れ之を致す、
通し番号 197 章内番号 3 識別番号 39_3
本文
天以て清なること無ければ将に恐らくは裂けん、
通し番号 198 章内番号 4 識別番号 39_4
本文
地は以て寧なること無ければ将に恐らくは発(も)れん、神は以て霊なること無ければ将に恐らくは歇(や)まん、谷は以て盈なること無ければ将に恐らくは竭(か)れん、万物は以て生じること無ければ将に恐らくは滅びん、侯王は以て貴高なること無ければ将に恐らくは蹶(つまず)かん、故(もと)より貴は賎以て本と為す、高は下以て基(もと)と為す、是を以て侯王自ら孤﹑寡﹑不穀と称す、此れ賎以て本と為すに非ざる耶(か)、非か、故に数(しばしば)の誉れを致せば誉れ無し、琭琭(ろくろく)として玉の如きをを欲さず、珞珞(らくらく)として石の如し、
第四十章
通し番号 199 章内番号 1 識別番号 40_1
本文
反は道の動なり、
通し番号 200 章内番号 2 識別番号 40_2
本文
弱は道の用なり、
通し番号 201 章内番号 3 識別番号 40_3
本文
天下の万物は有に生ず、有は無に生ず、
第四十一章
通し番号 202 章内番号 1 識別番号 41_1
本文
上士は道を聞けば、勤(つと)めて之を行う、
通し番号 203 章内番号 2 識別番号 41_2
本文
中士は道を聞けば、存(あ)るが若(ごと)く亡(な)きが若し、下士は道を聞けば、大いに之を笑う、笑わざれば、以て道と為すに足らず、故に建言之有り、
通し番号 204 章内番号 3 識別番号 41_3
本文
明道は昧(くら)きが若し、
通し番号 205 章内番号 4 識別番号 41_4
本文
進む道は退くが若し、
通し番号 206 章内番号 5 識別番号 41_5
本文
夷(たいら)かな道は纇(もと)るが若し、
通し番号 207 章内番号 6 識別番号 41_6
本文
上徳は谷の若し、
通し番号 208 章内番号 7 識別番号 41_7
本文
太(はなは)だ白きは辱(けが)るるが若し、
通し番号 209 章内番号 8 識別番号 41_8
本文
広き徳は足らざるが若し、
通し番号 210 章内番号 9 識別番号 41_9
本文
徳を建てるは偷(かりそめ)なるが若し、
通し番号 211 章内番号 10 識別番号 41_10
本文
質真は渝(かわ)るが若し、
通し番号 212 章内番号 11 識別番号 41_11
本文
大方隅(かど)無し、
通し番号 213 章内番号 12 識別番号 41_12
本文
大器は晚成す、
通し番号 214 章内番号 13 識別番号 41_13
本文
大きな音は希声なり、
通し番号 215 章内番号 14 識別番号 41_14
本文
大きな象(かたち)は形無し、
通し番号 216 章内番号 15 識別番号 41_15
本文
道は隠れて名無し、夫れ唯道、善く貸(ほどこ)し且つ成す、
第四十二章
通し番号 217 章内番号 1 識別番号 42_1
本文
道は一を生ず、一は二を生ず、二は三を生ず、三は万物を生ず、万物は陰を負いて陽を抱く、沖気以て和を為す、人の悪(にく)む所は、唯(ただ)孤﹑寡﹑不穀なり、而るに王公以て称と為す、故に物之を損(へ)らして益(ま)すこと或(あ)り、之を益(ま)して損(へ)らすこと或(あ)り、
通し番号 218 章内番号 2 識別番号 42_2
本文
人の教うる所、我亦之を教う、
通し番号 219 章内番号 3 識別番号 42_3
本文
強梁なる者は其死を得ず、吾将に以て教父と為らんとす、
第四十三章
通し番号 220 章内番号 1 識別番号 43_1
本文
天下の至柔は、天下の至堅に馳騁(ちてい)す、
通し番号 221 章内番号 2 識別番号 43_2
本文
有ること無きは間(すき)無きに入る、吾是を以て為すこと無きの益有るを知る、
通し番号 222 章内番号 3 識別番号 43_3
本文
不言の教え、無為の益は、天下之に及ぶこと希(まれ)なり、
第四十四章
通し番号 223 章内番号 1 識別番号 44_1
本文
名と身と孰(いず)れか親(ちか)し、
通し番号 224 章内番号 2 識別番号 44_2
本文
身と貨と孰(いず)れか多(まさ)る、
通し番号 225 章内番号 3 識別番号 44_3
本文
得ると亡(うしな)うと孰か病(や)む、
通し番号 226 章内番号 4 識別番号 44_4
本文
是故に甚だ愛すれば必ず大いに費(つい)やす、多く蔵せば必ず厚く亡(うしな)う、
通し番号 227 章内番号 5 識別番号 44_5
本文
足るを知れば辱(はずか)しめられず、止(とど)まるを知れば殆(あや)うからず、以て長久なるべし、
第四十五章
通し番号 228 章内番号 1 識別番号 45_1
本文
大成は欠(か)けるが若し、其用弊(やぶ)れず、
通し番号 229 章内番号 2 識別番号 45_2
本文
大盈(えい)は沖(ちゅう)なるが若し、其用は窮(きわ)まらず、
通し番号 230 章内番号 3 識別番号 45_3
本文
大直は屈(まが)るが若し、
通し番号 231 章内番号 4 識別番号 45_4
本文
大巧は拙(つたな)きが若し、
通し番号 232 章内番号 5 識別番号 45_5
本文
大弁は訥なるが若し
通し番号 233 章内番号 6 識別番号 45_6
本文
躁は寒に勝つ、静は熱に勝つ、清静は天下の正為(た)り、
第四十六章
通し番号 234 章内番号 1 識別番号 46_1
本文
天下に道有れば、走馬を卻(しりぞ)け以て糞(つちか)う、
通し番号 235 章内番号 2 識別番号 46_2
本文
天下に道無ければ、戎馬(じゅうば)郊(ちか)くに生ず、
通し番号 236 章内番号 3 識別番号 46_3
本文
禍(わざわい)は足るを知らざるより大なるは莫し、咎(つみ)は得るを欲するより大なるは莫し、故に足るを知るの足るは、常に足る、
第四十七章
通し番号 237 章内番号 1 識別番号 47_1
本文
戸を出ずして、天下を知る、牖(まど)を窺(うかが)わずして、天道を見る、
通し番号 238 章内番号 2 識別番号 47_2
本文
其出ること弥(ますます)遠ければ、其知ること弥(ますます)少し、
通し番号 239 章内番号 3 識別番号 47_3
本文
是を以て聖人は行かずして知る、見ずして名づく、
通し番号 240 章内番号 4 識別番号 47_4
本文
為さずして成る、
第四十八章
通し番号 241 章内番号 1 識別番号 48_1
本文
学を為すは、日に益(ま)す、
通し番号 242 章内番号 2 識別番号 48_2
本文
道を為すは日に損(へ)らす、
通し番号 243 章内番号 3 識別番号 48_3
本文
之を損(へ)らして又(さら)に損(へ)らす、以て為すこと無きに至る、為すこと無くて為さざる無し、
通し番号 244 章内番号 4 識別番号 48_4
本文
天下を取るは常に事無きを以てす、
通し番号 245 章内番号 5 識別番号 48_5
本文
其事有るに及びては、
通し番号 246 章内番号 6 識別番号 48_6
本文
以て天下を取るに足らず、
第四十九章
通し番号 247 章内番号 1 識別番号 49_1
本文
聖人は常の心無し、百姓の心以て心と為す、
通し番号 248 章内番号 2 識別番号 49_2
本文
善なる者、吾之を善とす、不善なる者、吾亦之を善とす、
通し番号 249 章内番号 3 識別番号 49_3
本文
徳は善なればなり、
通し番号 250 章内番号 4 識別番号 49_4
本文
信なる者、吾之を信とす、信ならざる者、吾亦之を信とす、徳は信なればなり、聖人が天下に在れば、歙歙(きゅうきゅう)として天下の為に其心を渾(こん)にす、百姓は皆其耳目を注ぐ、
通し番号 251 章内番号 5 識別番号 49_5
本文
聖人は皆之を孩(がい)にす、
第五十章
通し番号 252 章内番号 1 識別番号 50_1
本文
生を出て死に入る、
通し番号 253 章内番号 2 識別番号 50_2
本文
生の徒は、十に三有り、死の徒は、十に三有り、人の生くるに、動きて死地に之(ゆ)く、亦十に三有り、夫れ何の故ぞ、其生を生(やしな)うの厚きを以てなり、蓋し聞く、善く生を摂する者は、陸行して兕虎(じこ)に遇(あ)わず、軍に入りて甲兵を被(こうむ)らず、兕は(じ)其角(つの)を投ずる所無し、虎は其爪を措(お)く所無し、兵は其刃(やいば)を容(い)れる所無し、夫れ何の故ぞ、其死地無きを以てなり、
第五十一章
通し番号 256 章内番号 3 識別番号 51_3
本文
道の尊く、徳の貴きは、夫れ之に命ずること莫くて常に自ずから然るなり、
通し番号 257 章内番号 4 識別番号 51_4
本文
故に道之を生じ、徳之を畜(やしな)う、之を長(ま)し之を育て、之を亭(ととの)へ之を毒(あつ)くし、之を養(まも)り之を覆(おお)う、
通し番号 258 章内番号 5 識別番号 51_5
本文
生じて有(たも)たず、為して恃(たの)まず、
通し番号 259 章内番号 6 識別番号 51_6
本文
長じて宰(さい)せず、是れ玄徳と謂う、
通し番号 254 章内番号 1 識別番号 51_1
本文
道之を生ず、徳之を畜(やしな)う、物之を形づくる、勢之を成す、
通し番号 255 章内番号 2 識別番号 51_2
本文
是を以て万物は道を尊(たっと)び徳を貴(たっと)ばざることなし、
第五十二章
通し番号 260 章内番号 1 識別番号 52_1
本文
天下に始め有り、以て天下の母と為す、
通し番号 261 章内番号 2 識別番号 52_2
本文
既に其母を知り、復(ま)た其子を知る、既に其子を知り、復(ま)た其母を守る、身没するまで殆(あや)うからず、
通し番号 262 章内番号 3 識別番号 52_3
本文
其兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、其門を閉ずれば、
通し番号 263 章内番号 4 識別番号 52_4
本文
終身勤ならず、
通し番号 264 章内番号 5 識別番号 52_5
本文
其兌(あな)を開き、其事を濟(な)せば、終身救われず、
通し番号 265 章内番号 6 識別番号 52_6
本文
小を見るを明と曰う、柔を守るを強と曰う、
通し番号 266 章内番号 7 識別番号 52_7
本文
其光を用いて、
通し番号 267 章内番号 8 識別番号 52_8
本文
其明に復帰すれば、
通し番号 268 章内番号 9 識別番号 52_9
本文
身の殃(わざわい)を遺(のこ)すこと無し、是れ習常と謂う、
第五十三章
通し番号 269 章内番号 1 識別番号 53_1
本文
我をして介然(かいぜん)として知有らしめば、大道を行くに、唯(ただ)施(し)是れ畏る、
通し番号 270 章内番号 2 識別番号 53_2
本文
大道は甚だ夷(たいら)かなり、而るに民は径を好む、
通し番号 271 章内番号 3 識別番号 53_3
本文
朝は甚だ除(きよ)む、
通し番号 272 章内番号 4 識別番号 53_4
本文
田は甚だ蕪(あ)れ、倉は甚だ虚(むな)し、
通し番号 273 章内番号 5 識別番号 53_5
本文
文綵(さい)を服し、利剣を帯(お)び、飲食に厭(あ)く、財貨余り有り、是れ盜夸(こ)と謂う、道に非ざるかな、
第五十四章
通し番号 274 章内番号 1 識別番号 54_1
本文
善く建てたるは拔けず、
通し番号 275 章内番号 2 識別番号 54_2
本文
善く抱くは脱せず、
通し番号 276 章内番号 3 識別番号 54_3
本文
子孫は以て祭祀(さいし)して輟(や)まず、
通し番号 277 章内番号 4 識別番号 54_4
本文
之を身に於て修めれば、其徳乃ち真なり、之を家に於て修めれば、其徳乃ち余りあり、
通し番号 278 章内番号 5 識別番号 54_5
本文
之を鄉に於て修めれば、其徳は乃ち長し、之を国に於て修めれば、其徳は乃ち豊かなり、之を天下に於て修めれば、其徳は乃ち普(あまね)し、故に身以て身を観る、家以て家を観る、鄉以て鄉を観る、国以て国を観る、
通し番号 279 章内番号 6 識別番号 54_6
本文
天下以て天下を観る、
通し番号 280 章内番号 7 識別番号 54_7
本文
吾は何を以て天下の然るを知るや、此を以てなり、
第五十五章
通し番号 281 章内番号 1 識別番号 55_1
本文
含徳の厚きは、赤子に比(なぞら)う、蜂(ほう)蠆(たい)虺蛇(きだ)螫(さ)さず、猛獣拠(つか)まず、攫鳥(かくちょう)搏(う)たず、
通し番号 282 章内番号 2 識別番号 55_2
本文
骨弱く筋柔かにして握(にぎ)ること固し、
通し番号 283 章内番号 3 識別番号 55_3
本文
未だ牝牡(ひんぼ)の合を知らずして全く作(な)す、
通し番号 284 章内番号 4 識別番号 55_4
本文
精の至りなり、終日號(な)いて嗄(か)れず、
通し番号 285 章内番号 5 識別番号 55_5
本文
和の至りなり、和を知るを常と曰う、
通し番号 286 章内番号 6 識別番号 55_6
本文
常を知るを明と曰う、
通し番号 287 章内番号 7 識別番号 55_7
本文
生を益(ま)すを祥(しょう)と曰う、
通し番号 288 章内番号 8 識別番号 55_8
本文
心が気を使うを強と曰う、
通し番号 289 章内番号 9 識別番号 55_9
本文
物は壮(さかん)なれば、則ち老(おとろ)う、之を不道と謂う、不道は早く已(や)む、
第五十六章
通し番号 290 章内番号 1 識別番号 56_1
本文
知るは言わざることなり
通し番号 291 章内番号 2 識別番号 56_2
本文
言うは知ることならず、
通し番号 292 章内番号 3 識別番号 56_3
本文
其兌(あな)を塞(ふさ)ぎ、其門を閉じ、其鋭を挫(くじ)く、
通し番号 293 章内番号 4 識別番号 56_4
本文
其分を解く、
通し番号 294 章内番号 5 識別番号 56_5
本文
其光を和す、
通し番号 295 章内番号 6 識別番号 56_6
本文
其塵を同じくす、
通し番号 296 章内番号 7 識別番号 56_7
本文
是を玄同と謂う、故に得て親しむべからず、得て疏(うとん)ずるべからず、
通し番号 297 章内番号 8 識別番号 56_8
本文
得て利するべからず、得て害するべからず、
通し番号 298 章内番号 9 識別番号 56_9
本文
得て貴(たっと)ぶべからず、得て賎(いや)しむべからず、
通し番号 299 章内番号 10 識別番号 56_10
本文
故に天下の貴と為る、
第五十七章
通し番号 300 章内番号 1 識別番号 57_1
本文
正以て国を治めれば、奇以て兵を用う、無事以てすれば天下を取る、
通し番号 301 章内番号 2 識別番号 57_2
本文
吾何を以て其然るを知るや、此を以てなり、天下に忌諱(きき)多くして、民彌(いよいよ)貧し、民に利器多くして、国家滋(ますます)昏(みだ)る、
通し番号 302 章内番号 3 識別番号 57_3
本文
人に伎巧多くして、奇物滋(ますます)起こる、
通し番号 303 章内番号 4 識別番号 57_4
本文
法令滋(ますます)彰(あきら)かにして、盗賊多く有り、
通し番号 304 章内番号 5 識別番号 57_5
本文
故に聖人は云う、我は為すこと無くて民は自ずから化す、我は静を好みて民は自ずから正し、我は事とすること無くて民は自ずから富む、我は欲すること無くて民は自ずから樸(ぼく)なり、
第五十八章
通し番号 305 章内番号 1 識別番号 58_1
本文
其政が悶悶(もんもん)たれば、其民は淳淳(じゅんじゅん)たり、
通し番号 306 章内番号 2 識別番号 58_2
本文
其政が察察たれば、其民は欠欠たり、
通し番号 307 章内番号 3 識別番号 58_3
本文
禍(兮)は福の倚(よ)る所なり、福(兮)は禍の伏する所なり、孰(たれ)か其極を知らん、其れ正無し、
通し番号 308 章内番号 4 識別番号 58_4
本文
正は復(ま)た奇と為る、
通し番号 309 章内番号 5 識別番号 58_5
本文
善は復(ま)た妖(よう)と為る、
通し番号 310 章内番号 6 識別番号 58_6
本文
人の迷うは、其日固(もと)より久し、
通し番号 311 章内番号 7 識別番号 58_7
本文
是を以て聖人は方にして割(さ)かず、
通し番号 312 章内番号 8 識別番号 58_8
本文
廉にして劌(そこな)わず、
通し番号 313 章内番号 9 識別番号 58_9
本文
直にして肆(し)ならず、
通し番号 314 章内番号 10 識別番号 58_10
本文
光ありて燿(かがや)かず、
第五十九章
通し番号 315 章内番号 1 識別番号 59_1
本文
人を治め天に事(つか)えるは、嗇(しょく)に若(し)くは莫し、
通し番号 316 章内番号 2 識別番号 59_2
本文
夫れ唯嗇、是れ早く服すと謂う、
通し番号 317 章内番号 3 識別番号 59_3
本文
早く服する、之を徳を重積すると謂う、
通し番号 318 章内番号 4 識別番号 59_4
本文
徳を重積すれば則ち克(よ)くせざる無し、克(よ)くせざる無ければ則ち其極を知ること莫し、
通し番号 319 章内番号 5 識別番号 59_5
本文
其極を知ること莫ければ、以て国を有(たも)つべし、
通し番号 320 章内番号 6 識別番号 59_6
本文
国の母を有てば、以て長く久しかるべし、
通し番号 321 章内番号 7 識別番号 59_7
本文
是れ根を深くし柢(こん)を固くすと謂う、長生久視の道なり、
第六十章
通し番号 322 章内番号 1 識別番号 60_1
本文
大国を治めるは、小鮮(せん)を烹(に)るが若し、
通し番号 323 章内番号 2 識別番号 60_2
本文
道以て天下に莅(のぞ)めば、其鬼は神ならず、
通し番号 324 章内番号 3 識別番号 60_3
本文
其鬼は神ならずでは非ず、其神が人を傷つけず、
通し番号 325 章内番号 4 識別番号 60_4
本文
其神が人を傷つけずでは非ず、聖人が(亦)人を傷つけず、
通し番号 326 章内番号 5 識別番号 60_5
本文
夫れ両(ふた)つは相傷つけず、故に徳は交(こもごも)帰する
第六十一章
通し番号 327 章内番号 1 識別番号 61_1
本文
大国は下流なり、
通し番号 328 章内番号 2 識別番号 61_2
本文
天下の交なり、
通し番号 329 章内番号 3 識別番号 61_3
本文
天下の牝(ひん)なり、
通し番号 330 章内番号 4 識別番号 61_4
本文
牝(ひん)は常に静以て牡(ぼ)を勝(あ)ぐ、静以て下るを為す、
通し番号 331 章内番号 5 識別番号 61_5
本文
故に大国は以て小国に下れば、
通し番号 332 章内番号 6 識別番号 61_6
本文
則ち小国を取る、
通し番号 333 章内番号 7 識別番号 61_7
本文
小国は以て大国に下れば、則ち大国を取る、
通し番号 334 章内番号 8 識別番号 61_8
本文
故に或いは下りて以て取り、或いは下りて取る、
通し番号 335 章内番号 9 識別番号 61_9
本文
大国は兼ねて人を畜(やしな)うことを欲するに過ぎず、小国は入りて人に事(つか)えることを欲するに過ぎず、夫(か)の両者各(おのおの)其欲する所を得るは、大なる者宜しく下と為るべし、
第六十二章
通し番号 336 章内番号 1 識別番号 62_1
本文
道は万物の奥なり、
通し番号 337 章内番号 2 識別番号 62_2
本文
善き人の宝なり
通し番号 338 章内番号 3 識別番号 62_3
本文
不善人の保つ所なり、
通し番号 339 章内番号 4 識別番号 62_4
本文
美として言えば以て市(う)るべし、尊(たっと)びて行えば以て人に加えるべし、
通し番号 340 章内番号 5 識別番号 62_5
本文
人の不善は、何ぞ棄つること之有らん、
通し番号 341 章内番号 6 識別番号 62_6
本文
故に天子を立て、三公を置くに、
通し番号 342 章内番号 7 識別番号 62_7
本文
拱(きょう)璧(へき)以て駟馬(しば)に先だつこと有ると雖も、坐して此道を進めるに如かず、
通し番号 343 章内番号 8 識別番号 62_8
本文
古の此道を貴ぶ所以は何ぞ、以て求むれば得て、罪有りて以て免れると曰わざる耶(や)、故に天下の貴と為る、
第六十三章
通し番号 344 章内番号 1 識別番号 63_1
本文
為すこと無きを為し、事無きを事とし、味無きを味とする、
通し番号 345 章内番号 2 識別番号 63_2
本文
小を大とし少を多とす、怨みに報うるに徳を以てす、
通し番号 346 章内番号 3 識別番号 63_3
本文
難を其易に図る、大を其細に為す、天下の難事は必ず易に作(おこ)る、天下の大事は必ず細に作(おこ)る、是を以て聖人は終(つい)に大を為さず、故に能く其大を成す、夫れ軽諾は必ず信寡(すくな)し、多易は必ず多難なり、是を以て聖人猶之を難(かた)しとす、
通し番号 347 章内番号 4 識別番号 63_4
本文
故に終に難無し、
第六十四章
通し番号 348 章内番号 1 識別番号 64_1
本文
其安きは持し易し、其未だ兆(きざ)さざるは謀り易し、
通し番号 349 章内番号 2 識別番号 64_2
本文
其脆(もろ)きは泮(と)け易し、其微は散り易し、
通し番号 350 章内番号 3 識別番号 64_3
本文
之を未だ有らざるに於て為す、
通し番号 351 章内番号 4 識別番号 64_4
本文
之を未だ乱れざるに於て治む、
通し番号 352 章内番号 5 識別番号 64_5
本文
合抱の木は、毫末に生ず、九層の台は、土を累(かさ)ねるに起こる、千里の行は、足下に始まる、為す者は之を敗る、執(と)る者は之を失う、
通し番号 353 章内番号 6 識別番号 64_6
本文
是を以て聖人は為すこと無し、故に敗るること無し、執(と)ること無し、故に失うこと無し、民の事に従うは、常に成るに幾(ちか)づきて之を敗る、
通し番号 354 章内番号 7 識別番号 64_7
本文
終を慎むこと始の如ければ、則ち事を敗ること無し、是を以て聖人は欲さざるを欲し、得難きの貨を貴ばず、
通し番号 355 章内番号 8 識別番号 64_8
本文
学ばざるを学び、衆人の過ぎる所に復す、
通し番号 356 章内番号 9 識別番号 64_9
本文
以て万物の自然を輔(たす)けて、敢えて為さず、
第六十五章
通し番号 357 章内番号 1 識別番号 65_1
本文
古の善く道を為す者は、以て民を明かにするに非ず、将に以て之を愚にせんとす、
通し番号 358 章内番号 2 識別番号 65_2
本文
民の治め難きは、其智多きを以てなり、
通し番号 359 章内番号 3 識別番号 65_3
本文
故に智以て国を治むは、国の賊なり
通し番号 360 章内番号 4 識別番号 65_4
本文
智以て国を治めざるは、国の福なり、此両者を知るは(亦)稽式(けいしき)なり、常に稽式を知る、是れ玄徳と謂う、玄徳は深し、遠し、
通し番号 361 章内番号 5 識別番号 65_5
本文
物と反る、
通し番号 362 章内番号 6 識別番号 65_6
本文
然る後乃ち大順に至る、
第六十六章
通し番号 363 章内番号 1 識別番号 66_1
本文
江海の能く百谷の王と為る所以は、其善く之に下るを以てなり、故に能く百谷の王と為る、是を以て民に上たらんと欲せば、必ず言以て之に下る、民の先たらんと欲せば、必ず身以て之に後(おく)る、是を以て聖人が上に処(お)りて民は重しとせず、前に処(お)りて民は害とせず、是を以て天下推すを楽しみて厭(いと)わず、其不争を以てす、故に天下能く之と争うこと莫し、
第六十七章
通し番号 364 章内番号 1 識別番号 67_1
本文
天下皆、我道は大にして、不肖に似ると謂う、夫唯大なり、故に不肖に似る、若し肖なれば、久しい矣(かな)其れ細なる夫(かな)、
通し番号 365 章内番号 2 識別番号 67_2
本文
我に三宝有り、持して之を保つ、一に曰く慈、二に曰く倹、三に曰く敢えて天下の先と為らず、慈なり、故に能く勇なり、
通し番号 366 章内番号 3 識別番号 67_3
本文
倹なり、故に能く広し、
通し番号 367 章内番号 4 識別番号 67_4
本文
敢えて天下の先と為らず、故に能く器の長と成る、
通し番号 368 章内番号 5 識別番号 67_5
本文
今慈を舎(す)て且(まさ)に勇ならんとす、
通し番号 369 章内番号 6 識別番号 67_6
本文
倹を舎(す)て且(まさ)に広ならんとす、後を舍(す)て且に先にならんとす、死なん、夫れ慈は以て戦えば則ち勝つ、
通し番号 370 章内番号 7 識別番号 67_7
本文
以て守れば則ち固し、天将に之を救わんとす、慈以て之を衛(まも)ればなり、
第六十八章
通し番号 371 章内番号 1 識別番号 68_1
本文
善く士為(た)る者は武ならず、
通し番号 372 章内番号 2 識別番号 68_2
本文
善く戦う者は怒らず、
通し番号 373 章内番号 3 識別番号 68_3
本文
善く敵に勝つは与(くみせ)ず、
通し番号 374 章内番号 4 識別番号 68_4
本文
善く人を用いる者は之が下と為る、是れ不争の徳と謂う、是れ人の力を用いると謂う、
通し番号 375 章内番号 5 識別番号 68_5
本文
是れ天に配すと謂う、古の極なり、
第六十九章
通し番号 376 章内番号 1 識別番号 69_1
本文
兵を用いるに言有り、吾敢えて主と為らずして客と為る、敢えて寸を進まずして尺を退く、是れ、行くこと無きに行くと謂う、
通し番号 377 章内番号 2 識別番号 69_2
本文
臂(うで)無きを攘(はら)う、敵無しに扔(つ)く、
通し番号 378 章内番号 3 識別番号 69_3
本文
兵無きを執(と)る、と謂う、禍は敵を軽くみるより大なるは莫し、敵を軽くみれば、幾(ほとん)ど吾が宝を喪(うしな)う、
通し番号 379 章内番号 4 識別番号 69_4
本文
故に兵を抗(あ)げ相加う、哀(かな)しむ者勝つ、
第七十章
通し番号 380 章内番号 1 識別番号 70_1
本文
吾言甚だ知り易し、甚だ行い易し、天下能く知ること莫し、能く行うこと莫し、
通し番号 381 章内番号 2 識別番号 70_2
本文
言に宗有り、事に君有り、
通し番号 382 章内番号 3 識別番号 70_3
本文
夫れ唯知ること無し、是を以て我を知らず、
通し番号 383 章内番号 4 識別番号 70_4
本文
我を知る者希(まれ)なれば、則ち我は貴(たっと)し、
通し番号 384 章内番号 5 識別番号 70_5
本文
是を以て聖人は褐(かつ)を被(き)て玉を懐(いだ)く、
第七十一章
通し番号 385 章内番号 1 識別番号 71_1
本文
知りて知らずとするは上なり、知らずして知るとするは病(へい)なり、
通し番号 386 章内番号 2 識別番号 71_2
本文
夫れ唯(ただ)病を病とす、是を以て病ならず、聖人が病ならざるは、其の病を病とするを以てなり、是を以て病ならず、
第七十二章
通し番号 387 章内番号 1 識別番号 72_1
本文
民威を畏れざれば、則ち大威至る、其居る所を狎(せば)めること無く、其生くる所を厭(あっ)すること無し、
通し番号 388 章内番号 2 識別番号 72_2
本文
夫れ唯厭(あっ)さず、
通し番号 389 章内番号 3 識別番号 72_3
本文
是を以て厭(あっ)されず、
通し番号 390 章内番号 4 識別番号 72_4
本文
是を以て聖人は自ら知りて自ら見(あら)わさず、
通し番号 391 章内番号 5 識別番号 72_5
本文
自ら愛(おし)み自ら貴しとせず、
通し番号 392 章内番号 6 識別番号 72_6
本文
故に彼を去り此を取る、
第七十三章
通し番号 393 章内番号 1 識別番号 73_1
本文
敢えてするに勇なれば則ち殺す、
通し番号 394 章内番号 2 識別番号 73_2
本文
敢えてせざるに勇なれば則ち活(い)かす、
通し番号 395 章内番号 3 識別番号 73_3
本文
此両者は、或いは利なり、或いは害なり
通し番号 396 章内番号 4 識別番号 73_4
本文
天の悪(にく)む所、孰(たれ)か其故(ゆえ)を知らん、是を以て聖人猶之を難しとす、
通し番号 397 章内番号 5 識別番号 73_5
本文
天の道は、争わずして善く勝つ、
通し番号 398 章内番号 6 識別番号 73_6
本文
言わずして善く応ず、
通し番号 399 章内番号 7 識別番号 73_7
本文
召(まね)かずして自ずから来る、
通し番号 400 章内番号 8 識別番号 73_8
本文
繟然(せんぜん)として善く謀る、
通し番号 401 章内番号 9 識別番号 73_9
本文
天網恢恢(かいかい)、疏にして失わず、
第七十四章
通し番号 402 章内番号 1 識別番号 74_1
本文
民死を畏れざれば、奈何(いかん)ぞ死以て之を懼(おど)す、若し民をして常に死を畏(おそ)れしめば、奇を為す者は、吾が執(とら)えて之を殺すことを得る、孰か敢えてせん、
通し番号 403 章内番号 2 識別番号 74_2
本文
常に殺を司(つかさど)る者有りて殺す、夫れ殺を司(つかさど)る者に代りて殺す、是れ大匠(たいしょう)に代りて斲(けず)ると謂う、夫れ大匠に代り斲(けず)る者は、其手を傷つけざる有ること希(まれ)なり、
第七十五章
通し番号 404 章内番号 1 識別番号 75_1
本文
民の饑(う)えるは、其上の税を食べるの多きを以てなり、是を以て饑える、民の治め難きは、其上の為すこと有るを以てなり、是を以て治め難し、民の死を軽んじるは、其生を求めるの厚きを以てなり、是を以て死を軽んず、夫れ唯生以て為すこと無き者は、是れ生を貴(たっと)ぶより賢(まさ)る、
第七十六章
通し番号 405 章内番号 1 識別番号 76_1
本文
人の生まれるや柔弱なり、其死するや堅強なり、万物草木の生じるや柔脆(ぜい)なり、其死するや枯槁(ここう)なり、故に堅強なる者は死の徒、柔弱なる者は生の徒なり、是を以て兵強ければ則ち勝たず、
通し番号 406 章内番号 2 識別番号 76_2
本文
木強ければ則ち共す、
通し番号 407 章内番号 3 識別番号 76_3
本文
強大は下に処(お)る、
通し番号 408 章内番号 4 識別番号 76_4
本文
柔弱は上に処(お)る、
第七十七章
通し番号 409 章内番号 1 識別番号 77_1
本文
天の道は、其れ猶弓を張るがごときか、高きものは之を抑え、下(ひき)きものは之を挙ぐ、余り有るものは之を損し、足らざるものは之を補う、天の道は、余り有るを損して足らざるを補う、人の道は則ち然らず、
通し番号 410 章内番号 2 識別番号 77_2
本文
足らざるを損(へ)らし以て余り有るに奉(たてまつ)る、孰か能く余り有りて以て天下に奉(たてまつ)る、唯道を有(たも)つ者のみ、是を以て聖人は為して恃(たの)まず、功成りて処(お)らず、其賢を見(あら)わすことを欲せず、
第七十八章
通し番号 411 章内番号 1 識別番号 78_1
本文
天下に水より柔弱なるは莫し、堅強を攻むるは之に能く勝(まさ)ること莫し、其の以て之を易(か)えること無きを以てなり、
通し番号 412 章内番号 2 識別番号 78_2
本文
弱の強に勝ち、柔の剛に勝つは、天下知らざる莫くして能く行うこと莫し、是を以て聖人云う、国の垢(あか)を受く、是れ社稷(しょく)の主と謂う、国の不祥を受く、是れ天下の王と為す、正言は反するが若し、
第七十九章
通し番号 413 章内番号 1 識別番号 79_1
本文
大怨を和するも、必ず余怨有り、
通し番号 414 章内番号 2 識別番号 79_2
本文
安んぞ以て善と為すべし、是を以て聖人は左契を執(と)りて、
通し番号 415 章内番号 3 識別番号 79_3
本文
人を責めず、徳有るは契を司(つかさど)る、
通し番号 416 章内番号 4 識別番号 79_4
本文
徳無きは徹(は)ぐを司(つかさど)る、
通し番号 417 章内番号 5 識別番号 79_5
本文
天道は親(あい)無きも、常に善人に与(くみ)す、
第八十章
通し番号 418 章内番号 1 識別番号 80_1
本文
小国寡民、
通し番号 419 章内番号 2 識別番号 80_2
本文
什伯(じゅうはく)の器有りて用いざらしむ、
通し番号 420 章内番号 3 識別番号 80_3
本文
民をして死を重んじて遠くへ徙(うつ)らざらしむ、
通し番号 421 章内番号 4 識別番号 80_4
本文
舟(しゅう)輿(よ)有ると雖も、之に乗る所無し、甲兵有ると雖も、之を陳する所無し、人をして復(また)縄を結びて之を用い、其食を甘(うま)しとし、其服を美(よ)しとし、其居に安んじ、其俗を楽しましむ、鄰国相望み、雞犬の声相聞きて、民は老死に至るまで、相往来せず、
第八十一章
通し番号 422 章内番号 1 識別番号 81_1
本文
信言は美ならず、
通し番号 423 章内番号 2 識別番号 81_2
本文
美言は信ならず、
通し番号 424 章内番号 3 識別番号 81_3
本文
善なるは弁ずるにあらず、弁ずるは善にあらず、知るは博(ひろ)きにあらず、
通し番号 425 章内番号 4 識別番号 81_4
本文
博(ひろ)きは知ることにあらず、聖人は積まず、
通し番号 426 章内番号 5 識別番号 81_5
本文
既(つく)して以て人の為にし己愈(いよいよ)有(たも)つ、
通し番号 427 章内番号 6 識別番号 81_6
本文
既(つく)して以て人に与え、己愈(いよいよ)多し、
通し番号 428 章内番号 7 識別番号 81_7
本文
天の道は、利して害さず、
通し番号 429 章内番号 8 識別番号 81_8
本文
聖人の道は、為して争わず、