外貨への両替

  外国に旅行するとなると当然現地の通貨が必要である。初めて外国へ行く時、現地に着いて使えるお金がないと困るだろうと思い、早く両替しておこうと思う。日本の国際空港には両替する所がたくさんあるから、飛行機が出発する前に日本で両替することが多い。旅行に少し慣れてくると、現地の空港にも両替する所はたくさんあるから、あわてて日本で両替しておく必要はないと思う。しかも為替レートは米ドル、ユーロ以外は現地の現地の空港で両替したほうがよい。それで現地の空港で両替することになる。
  外国旅行にもっと慣れてくると市内にも両替商がまとまっている所があり、ここの為替レートが空港の為替レートよりもよいことに気づく。それで市内の両替商で両替することになる。市内の両替商はお店によってレートが違う。それでいくらか見てみてレートのよい所で両替したりする。ところが技術の進歩により画期的に安く両替する方法が出現した。それが海外キャッシングである。
  キャッシングはクレジットカードを利用してATMからお金を引き出しクレジットカード会社にお金を借りることである。お金を借りているのだから当然利息がかかる。キャッシングの年利率は18%ほどである。普通預金の年利率が0.001%の時代に年率18%のお金を借りるのは一般的に得策でない。日本国内ですべきことでない。ところが海外キャッシングは有利な所がある。それはクレジットカード会社は為替差益で利を取ることを法律で禁じられていることである。空港などで両替する時、円から外貨に替える為替レートと外貨から円に替える為替レートが違う。銀行や両替商はこの為替差益で利を取っている。ところが海外キャッシングをした時はその時の為替相場で外貨に替わる。つまり銀行や両替商で両替するよりも為替レートがよくなる。問題はその高い金利である。いくらレートがよくても年に18%もの金利を払うのではたまらない。クレジットカードで買物をするとお金が実際に口座から引き落されるのは1〜2ヶ月後になる。キャッシングの時もお金が実際に引き落されるのは1〜2ヶ月後になる。1年借りているわけでないから18%もの利子はかかってこないが、1.5%〜3%の利子がかかってくる。1.5%〜3%の利子を払うならまだ両替商で両替したほうが有利である。ところがキャッシングは返済額が確定すれば繰上返済ができる。1〜2ヶ月もお金を借りておく必要はないのだ。この返済額が3日ほどで確定するクレジットカードが出て来た。それがセディナカードである。3日間借りるだけなら年率18%としても0.15%程度の利子になる。これなら海外キャッシングが両替商での両替より圧倒的に有利である。
  繰上返済の時、本人が日本に電話してクレジットカード会社から振込銀行口座と返済額を教えてもらう必要がある。だから国際電話料金、振込手数料を両替費用に加えなければならない。Pay-easy(ペイジー)と言われる決済システムがある。旧富士銀行が設立した日本マルチペイメントネットワーク運営機構が運営している。ペイジーは振込と違い平日の15寺以後や休日でも即時決済される。また無料である。クレジットカード会社は繰上返済にペイジーを採用し電話が不要な所がある。これなら振込手数料と国際電話料金を両替費用に加える必要はない。ペイジーはインターネットで簡単に決済できる。前述のセディナカードはこのペイジーによる繰上返済ができる。
  外国のATMを使うとATM使用料を取られる所がある。セディナカードはATM使用料はいらない。セディナカードで海外キャッシングした場合必要な費用は3日間の利子0.15%程度だけである。圧倒的に有利な両替法である。
  この海外キャッシングはもう一つ便利なことがある。それはATMはどこにでもあることである。自分のクレジットカードのブランドが使える銀行ならどのATMでも使える。VISA Mastercardのブランドであれば、使えない所はまずない。両替商より圧倒的に数が多く、両替商を捜す必要がない。
  私が台湾で実際にセディナカードで海外キャッシングした経験を書いてみよう。私が台湾の桃園国際空港に着いたのは火曜日の夕方だった。入国審査を終えて出てくると両替所がありその横にATMがあった。試しに1000元出してみた。問題なく出金できた。 ATMは英語も表示される。ホテルへはどう行ったらよいかとMRTの乗り場を捜したり、スマートフォンをWiFiにつなぎ、台北の地図をダウンロードしようとした。ところがWiFiにつながっているのに、Google map が表示されない。どうしてGoogle map が表示されないのか、スマートフォンが壊れたのかと思った。Googleのメールを見ようとしても見れない。どうもインターネットにつながっていない。後でわかったことだが、前もって登録しておき、台湾に着いてからアクティブにしないとインターネットにつながらないのだった。登録が必要な時、通常はその旨表示が出る。ところが台湾は何の表示も出なかった。それで気付かなかった。その後もう少しお金がいるだろうと思い同じATMでまた出金しようとした。ところが今度は途中で止まってしまって出金できない。あきらめてMRTのほうへ移動していると、また別の銀行のATMがあった。そこでお金を引き出してみると問題なく引き出すことができた。今度は5000元を引き出した。火曜日の夕に合わせて6000元引き出したのである。
  ホテルに着いてからセディナカードのサイトにログインしようとした。ところがサイトが開かない。どうしてだろうと思って調べてみると中国本土や台湾では開くことができないらしい。せディナカードのサイトが開かないならインターネット上で繰上返済ができない。セディナカードのサイトだけでなく、ポケットカードのサイトも開くことができなかった。しかしクレジットカードのサイトがすべて開かないというわけでなく、楽天カードやJCBのサイトは問題なく開くことができた。モッピーというポイントサイトも開くことができなかった。ハピタスは問題なく開くのに。銀行でも楽天銀行は開かなった。楽天カードは開くことができて、楽天銀行は開くことができないのはどういう規準だろうと思った。
   VPN(Virtual Private Network)というものがある。VPNをオンにしてインターネットにつなぐとユーザーのIPアドレスでなく、VPNを提供するもののIPアドレスでつながる。また接続が暗号化されデータの傍受が困難になる。VPNを使えば現在いる国のIPアドレスでなく他国のIPアドレスでインターネットに接続できる。セディナカードのサイトは日本やアメリカでは問題なく閲覧できる。だからVPNを使い日本やアメリカのIPアドレスで見れば見れるはずである。VPN1は無料のものがある。しかしVPNサーバーの管理者はインターネットで何を見て何を記入したかを知ることができる。無料のVPNを使ってクレジットカード情報を入力するとクレジットカード情報がもれる恐れがある。だから無料だからと安易に無料VPNを使うのは危険である。しかし単に海外キャッシングの繰上返済するためだけに有料VPNの年契約を結ぶ必要はないと思う。信頼ある有料VPNでもユーザーを囲い込むためにしばらく無料の期間を設けている所がある。Tunnel Bear は月に500Mまでは無料である。VyprVPNは3日間は無料である。それでTunnel Bear をインストールしてオンにしてセディナカードのサイトを開いてみた。問題なく開くことができた。
  火曜日はキャッシングした日だから当然まだ返済額は決まっていなかった。水曜日、木曜日と確認したがまだ返済金額は確定していなかった。金曜日に確認すると返済金額は確定していた。返済できるようになるまで3日かかるのである。さあ返済しようとすると、VPNがつながらなくなった。火、水、木、金とTunnel Bearを4回使ったのだけど、4回目だともう無料の500Mを消費してしまったのである。それで3日間無料のVyprVPNをインストールして返済した。
  明細を見ると6000元に対して21588円になっていた。1元が3.598円の為替レートである。これは火曜日に借りた時のレートに一致した。それに対して請求額は21619円である。21619 - 21588 = 31円 の利子が発生したのである。100 × 31 / 2158 = 0.144% だからほぼ0.15%である。年率は18%なのだろう。6000元を31円の費用で両替できたのである。こんなに安く両替することは、どこの両替商でもできない。
  土曜日の夜にセディナカードのサイトを見るともう請求額はなくなっていた。通常の振込なら金曜日の夜に手続きをすればお金が着くのは次の週の月曜日である。ペイジーだと土曜日にはもう決済が終わっていたから即時に決済されたのだろう。
  31円と言うとささいな額と思うかもしれない。しかし率で見ると0.144%である。現在円定期預金で1年間置いて0.1%の利子がつけばかなりよい利率の定期預金である。そんな時代にわずか3日間で円定期預金で1年間置いて得る利子以上の利子を得たのである。これは大きいと言うべきである。もし私のように100人の人が1年間に利用したとすると、21588円が3100円の利子を産む。これは年率14.4%である。十分な資産運用と言うべきである。ATMで引き出し、ペイジーで決済しているのだから、セディナカード側に人件費はほとんどかかっていない。一度システムを作ってしまえば後は維持費がかかるだけで機械が勝手にかせいでくれる。一回あたりの利益が少なくても使う人が多くなれば十分に利益が出ると考えているのだろう。
  余談だがVyprVPNとはトラブルになった。VyprVPNは無料で3日間使えるのに私は1日で解約した。ところが一月の使用料を取られた。VyprVPNは登録時にクレジットカードの入力を要求し、私はPayPalを登録していた。このPayPalから一月の使用料を取られたのである。VyprVPNに解約したはずだとメールを送ったが返事が来ない。それで私はPayPalに異議を申し立てた。PayPalはすぐに動いてくれて以後の自動支払いは停止したとメールがあった。その後ようやくVyprVPNから返事は来たが、私がさらに抗議すると、こういう問題は経理部に回します、また経理部から1日〜2日で連絡がありますと言って来た。経理部は土日は休みだと言う、ちょうど金曜日だったから返事は来週になるのだろうと思った。ところがその直後にPayPalは私の主張を認め返金しますと言ってきた。PayPalの迅速な対応に驚いた。PayPalを登録しておいてよかったと思った。もしPayPalを経由せずに、直接クレジットカードを登録していたら、日本のクレジットカード会社は外国企業との交渉に不慣れだろうからこんな迅速な対応はとても取れなかっただろう。VyprVPNからは次の日にメールが来たが、何と「あなたの口座は削除され返金されました。」と書いてあるだけであった。間違って課金したことへの謝罪の一言もなかった。

ホームにもどる