『想ひ一』
今倉 章著
出版
『想ひ一』はかつて中国哲学を専攻しその影響を強く受けた著者が、後に医者となり、日常に経験する種々のことを深く思索しその理をとらえようとしたものです。その達した結論はしばしば世間に一般的に受け入れられている常識とは異なります。こんな結論になったが諸賢の読者はどう思うかと著者はむしろ諸賢の読者に教えられることを期待しています。日常的なことに対して新しい見方を提唱するものです。
下に序文と目次を示します。
序文
竹は縦に筋目がある。その筋目に従い縦にさけば簡単にさくことができる。ところが筋目に従わず横にさこうとすれば容易にさくことができない。世の中のことは同様にそれぞれに理がある。ものの理を知りその理に従えば自分も益し他人も益することになる。理を知らずに理に逆らってしようとすれば何事もうまくいかず、自分も害し他人も害することになる。
ところが理は一見してわかるものばかりでない。何かにおおわれなかなかわからないものも少なくない。一見して理と見えることもよく考えてみれば理でないこともある。理はとらえようと努力しなければなかなかわからない。数学の問題を解こうとする時、自分の手で数式を書きながら解かないと解けない。自分の手で書き、試行錯誤し、誤った所を修正して思考過程をまとめて行って初めて数学の問題を解くことができる。同様にものの理も自分の言葉で書き、思考過程をまとめることをしなければとらえることができない。理を知るためには書くことが必要なのである。
そうやって書きとめて自分では理であると確信していても他人の目から見ると明らかに誤っているものもあるだろう。だからその考え方に対し諸賢の意見を聞くことが望ましい。この『想ひ』は私が理をとらえようとして試行錯誤した記録である。諸賢の目から見て明らかに誤りと思うものがあれば、教えていただければ幸いである。下記がメールアドレスである。
akiraimakura@hotmail.co.jp
なおこの本は最初から読まなければ意味がわからないものでない。それぞれの項目は独立している。項目の順番は題を五十音順に並べただけである。
目次
1 愛国心は詭弁である
2 相手の弱点
3 あこがれることをすべきか
4 穴場と言われる所は本当に穴場か
5 危ない所はどこか
6 誤りと失敗の始まる所
7 争いには種をまくこと
8 争いは相手が間違っていると主張することから起こるが、人間は間違うものである
9 家柄がよい人とはどういう人か
10 医学は人間の大脳で他の臓器を解明しようとするが、それは可能か
11 偉人になる道は自分の感覚にもとることである
12 偉人のように行動できるためには
13 一番知らないものは何か
14 一面の理にとらわれるから誤りが起こる
15 一文無しが富豪よりたくさんの財産を持っているという話
16 一週間でできることは価値があるか
17 いつ大きな損失が起こるか?
18 いつ購入すべきか
19 医療行為はどのようになされているか
20 内に従っているか、外に従っているかが大事である
21 得るには捨てなければならない
22 おいしさ指標とは
23 王になるために一番必要なのは何か
24 大きく誤る原因
25 大きな間違いは何にあるか
26 多くの人が正しいとすることはなぜ価値が出ないか
27 多くの人が正しいとすることをすると
28 多くの人が非難する所にチャンスがある
29 多くの人と同じ方向に向いている時は大きく誤る
30 驕る者は実力をつけることができるか
31 思い込みが誤りを生む
32 会社勤めは残業が常態化する
33 貝原益軒の言う外邪と内欲
34 確実な利益を得るにはどうするか
35 果実財産とは
36 仮説検定の不備
37 価値があるとは数が少ないことである
38 勝つことができる形
39 金という支配者
40 金の亡者とは
41 金持になればなるほど自分が害される
42 金を使うこともなく死んでいく
43 株の買い時
44 果報は寝て待て
45 外見と内容とどちらが大事か
46 外的知識は必要か
47 外物はどういう時に必要か
48 学会でどのように議論がなされているか
49 北朝鮮問題
50 今日しかないと思った時どうするか
51 競争社会ではいつもスキャンダルがあばかれる
52 競争は短期間のことを考えず長期間で勝つことを考える
53 キリスト教の総本山の布教の方法
54 記録することが必要である
55 記録すると後に別の角度から見ることができる
56 議論の仕方
57 空腹時にアルコールは飲まない
58 国が繁栄するために最も必要なこと
59 健康診断で健康を失うこともある
60 権力者はどのような社会組織をつくるか
61 現代日本人の根本的な誤り
62 現代日本は人口の3分の2以上が奴隷である
63 現代は世界政府が必要な時代である
64 現代文明の危うさ
65 好況は人を死傷する上に成り立っている
66 広告が本来の自分の心を失わしめる
67 幸福を得る最短の道
68 心はどのような時に強くどのような時に弱いか
69 国家の本質は暴力と金である
70 国家は土地の所有権を守るために経験的に考え出されたものである
71 古典を使うにはどうするか
72 言葉や文章を見ればその人がわかる
73 誤解は無知よりも怖い
74 語学の習得の仕方
75 塞翁が馬
76 財産はどういう形で持つのがよいか
77 財産を少なく見つもると喜ぶことが多くなる
78 試合、コンテストに勝って失うもの
79 幸せな死に方
80 自然に従うと人に従うと
81 視聴率が高いのは深遠な理がない
82 失敗して成長する
83 支配者のために理なきを理とする
84 資本主義社会の牙
85 市民の富という支配者
86 生涯現役で誰が一番得をするか
87 商業の利益は何から生まれるか
88 商売の方法
89 書斎がいらなくなった時代
90 書物は何に役立つか
91 知ることと誤り
92 死を怖れるのに時間を惜しまない
93 信じる者は救われない
94 真に恐れるべきものは何か
95 新年号に興味があるが過去の年号には興味がない
96 侵略は許されないと言うのは既得権を守る方便である
97 時間限定の販売は得か
98 自国が滅ぶことに対する準備が必要
99 自分の意見と周囲の多数の人の意見が違う時多数の意見に従うのが正しいか
100 自分の中にものを残すにはどうするか
101 自分は他人のために尽しますと言う人は信用できるか
102 自分への執着から人生の苦しみが生まれる
103 自分を隠す一番よい方法は
104 自分を助けてくれるのは神仏か
105 十年後に同じ会議をしたら同じ結論になりますか
106 十年前の自分は今覚えている十年前の自分に過ぎない
107 常識に従って生きるとは
108 優れた人は恐れられても愛されることは少ない
109 成功体験に頼ることは危険
110 成功への道
111 聖書は神の言葉でない
112 政治家はどのようなことをしようとするか
113 西洋薬は漢方薬より好ましいか
114 世界大統領を選ぼうとするとどうなるか
115 選挙で政治の長を選ぶのは優れた制度か
116 戦争での民間人の殺傷は何の正当性もない
117 税金はどのように再分配されるか
118 税制では法人が個人より有利
119 前例のないことはすべきか
120 相場で仕かけるのは遅れめ、仕舞うのは早めがよい
121 組織人のジレンマ
122 その人の価値はいつわかるか
123 怠惰な生活で体力や知力がつくか
124 宝くじは競馬競輪より損をする
125 宝くじは賭博である
126 たくさんのものを持っている人は不幸になりやすい
127 正しいことを言えば人が動くか
128 正しいとはどういうことか
129 達人の言葉と凡人の言葉の違い
130 達人の道を知ることがないようにするには
131 多欲がよくない理由
132 多欲の人は失敗する
133 短所はなおすべきか
134 単に言うだけではどうなるか
135 大企業の弱点
136 大事なのはものを見ることでない
137 大脳が力を発揮する時
138 大脳の考えることに完成はない
139 知恵と能力を得るには
140 知恵のある人の特徴は何か
141 知恵を得るにはどうするか
142 知識により行動するのは非常に危うい
143 智者と愚者の見分け方
144 知者になるにはどうしたらよいか
145 知と能を得るにはどうするか
146 朝三暮四
147 治療が病気を起こす
148 治療マニュアルによる治療で優れた治療ができるか
149 訂正できない形は必敗である
150 敵国に教育制度を任せると
151 哲学は衣服のようなものである
152 テレビが言う正しいこととは
153 テレビは国民の洗脳に便利な道具である
154 テレビは人をどのような人間にするか
155 テレビを見ることで真理を得るのは難しい
156 投資で大事なこと
157 統治手段としての教育
158 得な交換
159 トップに必要な能力
160 トラブルの原因は何か
161 どういうことに投資すべきか
162 どういうものが善言か
163 道徳とは
164 奴隷とは
165 なぜ貨幣経済になるか
166 なぜ失敗するのか
167 なぜ食事を変えることで病気が治るか
168 なぜ時節を待つのか
169 なぜ政府は国民に土地と家を持たせようとするか
170 なぜ理に合わないことが世の中に満ち満ちてくるか
171 何が一番取りやすいか
172 名を正す
173 二種類の学問
174 二重盲検法の問題点
175 日米安全保障条約で日本を守ることができるか
176 日本では当然と思う習慣も国が違えばありえない習慣になる
177 日本に核搭載ミサイルを配備する時である
178 日本に三度目の原爆が投下される危機
179 日本の採用制度と日本の体質
180 日本を簡単に確実に変える方法
181 人間の最大の弱点
182 人間は志以上のものになり得ない
183 人間は集団になると能力が向上しない
184 人間は小さな大宇宙
185 値打のある能力とは
186 伸びることを妨げるものは何か
187 発熱は下げるべきか
188 引き際とは
189 人が争って取ろうとするものは取らない
190 人と争わないためにはどうするか
191 人に怒られると気にするのに天に怒られても気にしない
192 人の言うことは実際に起こったことでない
193 人の行かない道を行く
194 人の中傷に対する最善の対応
195 人はどのように使うか
196 一人をほめることは多数をけなすことと同じである
197 人を無知にする一番よい方法
198 人を模倣し人から盗作した人生
199 評価財産は単なる幻想か
200 病気を早く治して失うもの
201 不幸と病気の原因
202 不幸への道は何で満ちているか
203 不動産は投資対象とすべきでない
204 武器を取る
205 部分だけを見ていては部分も見ることができない
206 武力による支配は心を従わせることができない
207 プログラムをつくるプログラムをつくる
208 法に従ってする、規則に従ってする
209 法律に従えば正しいか
210 本が大脳の力を奪う時
211 本当に夜型人間か
212 本に耽ると必敗する
213 暴力の正当化がもたらしたもの
214 マイホームの購入は投資である
215 負けた時は勝ちやすい
216 マスコミのもたらした恩恵と害悪
217 マレーシアは成長するか
218 道とは
219 道を得る方法
220 身を守る第一のこと
221 民主主義政治の根本的な欠陥
222 みんなとは
223 無人島ビジネス
224 名作の生き残り方
225 珍しいものと珍しい見方
226 物が集まる
227 物がよく売れるためにはどうしたらよいか
228 よい国、よい県はどうすればわかるか
229 よいものを安く買うには
230 よくしゃべる人はまず知らない
231 予測しなかった事態が起こった時は大きなチャンスである
232 予定通りにすることは大事なことか
233 四万メートルも上にあがるにはどうすればよいか
234 理解できることと理解できないこと
235 理で勝つと勝利が永続する
236 理に基づかない慣習
237 理の力
238 理のわからない人
239 理を求めようとする者が理を求めようとしない者に負けることはない
240 列車内で大きな声で話をしてはいけないのに待合室の大きなボリュームのテレビはいいのか
241 老子の文章
242 労働は尊いことか